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■地震動応答解析のおはなし
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第2話 「震動解析をなぜやるの?」


 地震動応答解析をできるだけ平易に、話を進めるために次の2人を登場させてみました。

島課長: 構造計算の実務経験18年。高層建物の評定物件を数棟チーフリーダーとして構造設計した経験あり。
中沢君: 入社1年、低層で整形な建物でもまだ1人で任せられるまでには至っていない。

 2人の会話を通して、地震動応答解析とはどのようなことをするのか、また通常、取り扱っている静的解析の一次設計や二次設計は動的解析から見たとき、どのような位置付けとしてとらえられるか等、考えてみたいと思います。

 1980年代後半は、高景気のときで、高層建物の仕事も多く、島課長も大変忙しい日々を送っていた。しかし、ここ1〜2年の景気低迷により、かつての忙しさはなくなり時間的余裕もできたので、この時期にできるだけ課員の教育を試みようと思っていた。
 課員の中沢君は、最近振動解析の本を買い込み「これから勉強するんだ!」と意気込んでいるところであった。



中沢: 「島課長、これから振動解析を勉強しようと思っているんですよ。」
島課長: 「いいことだね。しっかりやりなさい。わからなかったら、なんでも聞いていいよ。」
中沢: 「ところが課長、最初からわからないんですよ!」
島課長: 「なに!?」
中沢: 「振動の本を4〜5ページ読んだんですよ。」
「突然、振動方程式という言葉が出てきて・・・。」
「m+c+・・・とか言う微分方程式・・・なんですよぉ〜。」
島課長: 「う〜ん、なるほど、なるほど。」
中沢: 「やはり振動、難しいですね。」
島課長: 「おい!おい!」
「まだ始まったばかりだろう。すぐあきらめるなよ。」
中沢: 「あの本3000円で買ったんですよ。でも・・・。」
「もっとやさしく書いた本、探してきますよ。」
島課長: 「新しく買わなくていいよ。」
「その本の振動方程式の部分を読み飛ばして、次へ進んだらどうかね。」
中沢: 「振動方程式・・・。やらなくていいんですか?」
島課長: 「建物の振動について勉強する場合、振動方程式よりもっともっと大事なことがたくさんあるんだ。」
「中沢君にわかりやすく説明すると・・・。」
中沢: 「やさしくお願いします!」
島課長: 「一次設計や二次設計をコンピュータを使ってやっているよね。解法としては変位法を使っているわけだ。」
「また、変位を未知数として導かれた多元連立方程式を解く方法も、スカイライン法やウェーブフロント法、その他たくさんある。」
中沢: 「???・・・。」
島課長: 「しかし、これらのことを知らなくても、立派に構造設計している人達がたくさんいるよね。」
「それは、結果について読むことができるからだ。」
「たとえば、計算が正しくされているか、釣り合いは満足しているか、応力や変位に異常はないか、入力データにミスはないか・・・。」
「さまざまな視点から判断し、最適な構造設計を造り出すことにある。」
中沢: 「・・・少しわかってきました。」
島課長: 「大事なことは、計算過程よりはその結果をどう読むか、どう判断するかということだ。」
「振動方程式を理解するより、もっと大事なことは・・・。」
中沢: 「はい、はい?」
島課長: 「なぜ振動解析するのか?」
「出てきた結果をどう読むか・・・。」
「それを構造設計にどう反映させるか・・・ということだよ。」
中沢: 「よくわかりました。」
「ところで課長、なぜ振動解析するのですか?」
島課長: 「・・・。」
(星 睦廣)


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