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■構造設計者のための技術情報


液状化の判定で加速度レベルに
150galや200galを用いる考え方と設計への反映


2010年5月
関連製品名:BUILD.地盤・柱状/液状化


Q.

液状化の判定において、中地震時の加速度レベルとして、150galや200galを用いる考え方と設計への反映の仕方を教えて下さい。



A.

この種の質疑に関しては、(財)建築行政情報センター(ICBA)のホームページによると、以下のQ&Aが公開されています。

【質問内容】
液状化の検討をFL値で判定する場合、150galでFLが1以上であれば、地盤や杭の検討において液状化の恐れがないとして取り扱うという理解でよろしいでしょうか。

【回答】
一次設計の地震時については、ご指摘のとおりです。二次設計で液状化をどのように考慮するかは、設計者判断によります。ただし、沈下の影響を受けやすい構造形式で、上部構造の性能設計を行うような場合は、検討しておくべきと考えられます。また、二次設計で液状化を考慮しない設計を行う場合は、一次設計における液状化の検討に用いる加速度レベルを200galとすることが推奨されます。
(ICBA-「改正建築基準法Q&A検索システム」-「構造関係基準に関するQ&A」の質疑番号54より)

つまり、一次設計時の地震時については、FL値で検討する場合、150galでFL≧1であれば、地盤や杭の検討において液状化の恐れがないとして取り扱ってもよいことになります。

液状化の判定はFL値の他、PL値でも判定ができます。PL値はFL値を用いて算出され液状化の激しさの程度を示す指標のため、例えばFL<1の場合で液状化するとの判定になったときでも、液状化の程度を示すPL値によっては、「液状化の程度は少なく、構造物への影響はほとんどない」との結果を示すこともあります。

また、二次設計で液状化を考慮するかは、法令上は規定がないために、設計者判断となります。ただし、4本柱の建物のように液状化による不同沈下が建物全体に影響を及ぼすものや災害時にも機能する必要のある建物においては、許容応力度設計だけで無く、二次設計でも液状化を考慮する必要があると言えます。

二次設計で液状化を考慮しない設計の場合には、多少余裕を持たせる設定とするために、一次設計時(中地震時)の液状化に用いる加速度レベルを200galとすることが推奨されています。

ここで「液状化を考慮する設計」とは、次のことを示します。弊社の「BUILD.地盤・柱状/液状化」は、各地層ごとのFL値やPL値を出力しますが、同時に「水平地盤反力係数の補正係数β」を出力します。この補正係数βを、杭・基礎梁一連計算プログラム「BUILD.GPIII」に入力指定することで、杭に取り付く水平バネである水平地盤反力係数を低減する係数として働き、地盤・杭・基礎梁等の応力計算に影響を与えて「液状化を考慮した設計」となります。また、二次設計で液状化を考慮する場合には、地盤の非線形化の他、杭材料の塑性化も考慮した杭設計となるため「BUILD.杭保有」を用いての計算となります。


なお、150gal〜200galについては、以下の資料では次のように補足説明がされています。

「一般的に地震応答解析を行うと、中地震時(レベル1含む)の地表面加速度は地盤の特性にもよるが、地表面で加速度が増幅し150gal程度となる。また、大地震時では地震動レベルが極めて大きく液状化を生ずる地盤でも、地盤の非線形性の影響で応答はあまり増幅されず、350gal程度となる。従って、動的解析を行わない場合に採用する地表面加速度として、中地震時には多少余裕をもって設定した150〜200gal程度、大地震時では350gal程度を採用するのが一般的である。」
(「高層建築物の構造設計実務」 編集・高層建築物の構造設計実務編集委員会 P137より)

「45mを超える高層建築物では200galの地動に対して液状化する恐れがないこと」
(「2007年版 建築物の構造関係技術基準解説書」の付録1-7 P705より)
 
以上が、中地震時の加速度レベルとして150galや200galを用いる根拠と設計への反映の仕方になります。


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